【武士の一分】
『武士の一分』(ぶしのいちぶん)は、2006年製作の日本映画。
原作は時代小説『盲目剣谺返し』(『隠し剣秋風抄』収録、藤沢周平作)。山田洋次の監督による『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』と並ぶ、「時代劇三部作」の完結作。興行収入は40億円を超え、松竹配給映画としての歴代最高記録(当時)を樹立した(後に、『おくりびと』がこの記録を更新)。第57回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門オープニング作品、特別部門に選出された。
2006年公開の時代劇。
「藤沢周平時代劇三部作」の第3作にあたるそうです。
当時の松竹映画の興行収入最高記録を更新した作品。
■あらすじ
幕末時代の海坂藩。優れた剣技を生かされることなく毒見役の職を務める小侍の三村新之丞は妻・加世と慎ましくも幸せに暮らしていた。新之丞は立身出世に関心はなく、早々に隠居し、子供向けの剣術道場を開くことを夢見ていた。そんなある日、いつも通り毒見を終えた新之丞は直後身体の異常を訴えながら倒れてしまう。城内は藩主の暗殺未遂の疑いで騒然となるが、原因はつぶ貝の貝毒と判明。城内は落ち着きを取り戻したものの、広式番の作之助は責任を取らされ切腹の運びとなる。三日後に意識を取り戻した新之丞は、己の目が光を失っていることに気がつく。加世は医師の玄斎を頼るが、彼は「新之丞の目はもう治らない」と告げる。
「木村拓哉」主演に関しては、当時でも賛否両論だったとのこと。
はっきり言って自分も「木村拓哉」は嫌いなんだけど、この作品は、「時代劇三部作」の中でも一番わかりやすくてドラマチックな名作だと思うのです。
アイドルっぽいチャラいような演技も目に付くけど、山田監督はきっちりと演出する人らしいので、そういったところも計算されていたのでしょう。
「島田藤弥」役の坂東三津五郎が本当に”悪役”で、卑怯で嫌な侍ですね。
まさしく「勧善懲悪」な物語で、王道のストーリーといった感じ。
こういう嫌な奴に天誅を下す事で、観衆はスカッとするんですよね!
「徳平」役の笹野高史が結構、重要な役どころを担っていて、飄々としながらも主人と妻の事をしっかりと見守っている。
人間的にも深みのある言動を見せるんですよね。
盲目になった「三村新之丞」と「島田藤弥」の果し合いシーン。
妻を寝取られた憤りや怒りがヒシヒシと伝わってきて、手に汗握る場面。
まさしく「武士の一分」に賭けた、己の生命をも厭わぬ姿には鬼気迫るものを感じます!!
妻「加世」の仇を討った「新之丞」には、もう何も残されてはいなかった、、、
実は、鳥のつがいの片方が死んでしまうところが、新之丞と加世を比喩しているんですよね。
「自分があの時、徳平に加世の後を付けさせさなければ、こんな事には、、、」
加世の事を想い、悔やむ新之丞。
徳平が新しく雇った「飯炊き女」の作った煮物を一口食べた新之丞は、怪訝な表情を浮かべる、、、
ラストのあの展開は、涙なしでは観られないシーンとなっており、感動の名場面でしたね。
■主なキャスト
三村新之丞(木村拓哉)
三村加世(檀れい)
徳平(笹野高史)
波多野以寧(桃井かおり)
木部孫八郎(緒形拳)
島田藤弥(坂東三津五郎)